Nipper湘南SPレコード愛好会

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REPORT Vol.2
 
会員のお宅訪問第2回 古屋 明邸  Feb.12.2014
編集部
 

 

平成26年2月12日は、大雪が路肩に残る寒い日であった。(翌週の21日には二回目の記録的な大雪が降った)。衣笠の丘の上に建つ白いモダンなお家が古屋明さんの邸宅である。古屋さんは玄関先で「いらっしゃい」と、我々取材班一行を笑顔で出迎えて下さった。

 古屋さんは、オーディオ界の著名人である。アナログのカートリッジメーカー、FRのご出身で、当時は設計に携わっておられたが、現在は独立されて、カートリッジの修理工房を経営されている。

 

JBLメトロゴン

室内に案内されると、そこは別世界の音のワンダーランドであった。天井は吹き抜けで2階位の高さがある。両脇の壁にはレコード棚があり、SP盤やLP盤がぎっしりと並んでいる。正面にはクオードESLのコンデンサースピーカーが縦に2台パラで設置されている。他にもJBLメトロゴンやソナス・ファーベルのエレクタ・アマトール、タンノイ等の名機の他に、ビンテージスピーカーが何台も無造作に置かれている。(これも後で聴かせて頂いたが、味のあるとても良い音であった。)

 

蓄音機は、EMG−Xb、ブランズウィック・マドリッド、HMV−511、HMV−163、ビクターV2号(?)等が、スピーカーの間を埋めるように置いてある。電気再生は流石に専門家で、ガラードやEMTのプロ用ターンテーブルに、様々なカートリッジをジャンルに合わせて使い分けている。今日はSP盤の再生ということで、タンノイのカートリッジを聴かせていただいた。イコライザーはSP盤からLP盤の様々な録音カーブに合わせて再生することができるFMアーコスティックを使用している。今回は図らずも、蓄音機と電気再生の聴き比べをすることになった。

早速、SP盤をかけて頂く。EMG−Xbで、フルニエのチェロ独奏を再生する。柔らかなフルニエの演奏が奏でられる。枯淡の味わいとでも言おうか、一同、思わずため息をついた。次にブランズウィックのマドリッドで、同じ曲を聴く。これは、柔らかと言うよりもしなやかな、華やいだ音である。音楽の楽しさが伝わってくる感じだ。

続いて、HMV−163で、サウンドボックスNo.5aを外し、ここにコーンスピーカーを取り付けたもので電気再生を聴いてみる。カートリッジはタンノイのバリレラである。 これは、中庸の音と言おうか、強い個性は感じないものの、オールマイティーのバランスの良い音である。蓄音機の機種や再生方法によって、こんなに違うとは面白いもので、なんだか演奏家まで違った人の様に聴こえてくる。

 

次に、K氏が持参した、蓄音機のプラッターに独自の共振止め加工を施したものと、トーレンス製の防振プラッターマットを試聴してみる。EMG−Xbでは、音の重心が下がる感じで、うるささを全く感じない。安心して音楽に没頭できる感じである。続いてブランズウィック・マドリッドでは、一寸大人しくなりすぎたかな、という感じ。ブランズウィックの華やかな良さが薄れるが、これはこれで、好ましく感じられる方もいらっしゃるのではないか。どちらも良い音に変わりなく好みの範囲であると思う。蓄音機に防振マットとは不思議に思われるだろうが、このLP用のプラッターマット(ディスクマット)はSP盤にも大変効果的である。今でもオーディオショップに置いてあるので、一度、蓄音機で試すことをお勧めする。驚くほど効果がある。お持ちの蓄音機がグレードアップすること間違いなしである。安価に代用品で試されるのなら、100円ショップで売られているコルク板か、DIYショップの�〜2mm厚のゴム板を直径30cmに切り、中心に穴をあけて使用するとよい。

 

この後、面白い実験を行った。K氏が試作した振動変換機である。これは、マグネティックスピーカーの磁気回路を利用したもので、蓄音機のサウンドボックスで電気再生するのである。音の感想としては、マグネティックスピーカーに近い音がした。不思議な位SP盤の針音がしない。原理が同じだからだろうか、今後の改良が楽しみである。

 

今回、古屋さんの御宅訪問で感じた事は、どの蓄音機や装置を使っても、音がきれいな事である。古い蓄音機から

最新のオーディオ装置まで聴かせて下さったが、機械の個性の違いはあるものの、どれも古屋さんの美意識で統一

されていて心地良い。

時間の経つのも忘れリクエストをお願いして聞き入っていたが、ふと外を見るとすっかり日も暮れてしまっていた。

今日の訪問への謝辞を述べ、取材班は一路帰途についた。             ≪