Nipper湘南SPレコード愛好会

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REPORT Vol.5

 

 

会員のお宅訪問第3回 金子家祥 会員  June.18.2013
編集部

 

 

 金子邸を訪問したのは、平成26年6月18日の小雨降る午後であった。七里ガ浜伝いに走る江ノ電の踏切を山側に越えて、鎌倉プリンスホテルを横に見ながら坂を登って行くと、相模湾を眼下に望む山の頂付近にある、閑静な住宅街の一画がお宅である。 玄関のベルを鳴らすと、金子氏が「やあ」と笑顔で我々取材班一行を出迎えてくれた。室内に案内されると、そこは蓄音機博物館と見間違うようなスペースである。  

 

 HMV202のオイルバスタイプ型とクレデンザの電動モーター型が正面に鎮座している。その左横にはフランス・パテ社・サロン、右横には、ブランズウィック・アルトーナT型、その上にはエジソン・ジエムD型と、ビクター・モナークモデル、そしてソファーの両脇には、博物館アイテムとも言える、エジソン・エディホン・フロアー型と、専用のシリンダー・シェーバー、の2台が置いてある。これは事務用のシリンダー録音機である。勿論電動である。このシェーバーは、使用済のシリンダーを研磨して再利用する物らしい、テープレコーダーの消去機能にあたる機械である。エジソン・エディホン他にもエジソン・サロンを中心にしたラインナップが十数台コレクションされているとの事。氏は大変なエジソンコレクターである。  

 

 
 
 

 早速、SP盤を聴かせて頂くことにする。先ずHMV202である。オイルバス・モーターの静粛さは驚異的だ。この2本ゼンマイの回転音は無音である。その奏でる音質は、柔らかく円やかで、刺激的な音が全くしない。HMV202の4本ゼンマイは押し出しの強い音だが、これとは明らかに違う、回転のトルクが変わると、斯くも音質に違いが出るとは面白いものである。続いてクレデンザを聴く。これは電動モータータイプである。音質は、ゼンマイタイプのクレデンザの柔らかな音に比べると、木製のホーンの味わいを残しつつ、繊細で明快、かつ切れ味の良い音がする。この音の違いは、電動モーターという強力な動力のなせる業なのか。回転トルクの違いによる音質の変化について、我々はもっと検証する必要がありそうだ。次に、仏パテ社のサロンを聴かせてもらう。この蓄音機は縦振動である。同時代の縦振動と横振動の音を比べると、前者には明らかに音に張りがあり、しかもピュアな音である。縦振動はエネルギーの伝達量が多いのであろうか、演奏者の空気感が伝わって来る。オーケストラや声楽、ヴァイオリンを聴いたが、イボンヌ・キュルティの演奏を聴いた時は、これには痺れてしまった。  

 当日はエジソンを尻目に、主に平円盤で音楽鑑賞の一時を過ごした。金子氏のコレクションは蓄音機だけでなく、レコードでもあらゆるジャンルに亘る。部屋に入り切らなかったSP盤が、廊下の脇にうず高く積み上げられている。クラシック、シャンソン、タンゴ、ポップス、ジャズ、流行歌、果はイギリス国王や旧軍人の演説盤まであり実に多彩である。我を忘れて聴き入っていたが、気が付くと時はすでに夕刻である。我々は金子氏に取材への謝辞を述べ、“蓄音機の館”を後にして帰路に付いた。       −完−