第15回例会「エクスポーネンシャルホーンとリエントラントホーンの聴き比べ【音響学的解析】/シャンソンコンサート」

平成26年8月20日(水)午後2時
会場:横浜蓄音器ミュージアム

テーマ:“エクスポーネンシャルホーンとリエントラントホーンの聴き比べ【音響学的解析】/シャンソンコンサート”
担当:渡邉治雄、沖りえ子

渡邉治雄会員

第一部 “エクスポーネンシャルホーンとリエントラントホーンの聴き比べ【音響学的解析】”

今例会は、この2種類のホーンの形状の異なる蓄音機を使用して、音像と位相の観点から音響学的考察を行い、音の違いを聴き比べました。 
会場は、開設して間もない、渡辺治雄会員の私設ミュージアムである“横浜蓄音器ミュージアム”です。ここは、EMGを中心としてHMVやクレデンザ等名器が展示されています。今回は、その蓄音機を使用して実験と鑑賞を行いました。

※より詳しい内容はレポートVol.6 を参照下さい。

使用蓄音機

音像比較 
 エクスポーネンシャルホーン:EMG−Mark7
 リエントランスホーン:HMV-203

位相比較 
 ビクトローラVV 1-90
 HMV-130

使用SPレコード

音像比較
 ダニー・ケイ「セッシ・ボン」
 ブラームス、ヴァイオリン協奏曲、クライスラー(V)ブレッヒ指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団
位相比較
 マリリン・モンロー「帰らざる河」
 デッカレコード、周波数特性測定用レコード

エクスポーネンシャルホーンの音

このホーンは、音像が点音源になります。人間の喉の口径が3cmから5cm位であるので、聴く距離が3mから5mとすると、口径対聴くポイントの距離は1対100になります。しかも、各周波数の共鳴点がそれぞれ一箇所しかない点音源のため、どの位置で聴いても位相のズレがありません。結果としてよりリアルな音が楽しめます。

リエントランスホーンの音

このホーンは音像が縦横30cm位の面音源になります。そのために大編成の管弦楽曲などは、広がりのある聞きやすい音になります。しかし、ホーンを途中から二つに分けてあるため上の管で共鳴した音と下の管で共鳴した音が、聞く位置によって二者の位置の距離が異なるため、同位相の時は音が大きく聞こえ、逆位相になった時には音が抜けるという、音抜けの現象が起きるのです。今回使用するビクトローラVV 1-90は、音の開口が左右のリエントラント・ホーンのため、中央で聞いていて少し頭を左右に動かすと右耳の音の強さと左耳の音の強さが急に異なる位置が分かります。その位置がまさに片方の耳で位相が逆になったことが体感出来るのです。
今回は実際に耳で体感していただきました。

エクスポーネンシャルホーンと、リエントランスホーンの聴き比べ

上記の“使用蓄音機”と“使用SPレコード”で聴き比べを行いました。

異なる増幅方法による音の違い

蓄音器の音は何故リアルに聞こえるかを、現代の再生方法【複合増幅】と【マルチ増幅】の異なる増幅方法で考察してみました。

ソース

ニニ・ロッソ「クリスマスコンサート」1974年 新宿厚生年金ホールでのライブ録音、ノイマン製コンデンサーマイク使用、渡辺治雄録音。

再生装置

テープデッキ:ルボックスB-77、2トラック、38cm/s
プリアンプ:マッキントッシュC-22
スピーカー:マック杉崎氏考案、トランデューサー×2台でEMG-Mark7×2台をドライブしステレオ再生を行いました。

第二部 “シャンソンコンサート”

沖りえ子(VO)

第15回例会の後、懇親会が開催されました。この席で、歌手・沖りえ子さんの「シャンソンコンサート」と、会員差し入れの美酒を堪能しました。