第30回例会「20世紀の大指揮者 第2回 ブルーノ・ワルター」

平成29年4月2日(日)午後2時
会場:無罣庵

テーマ:“20世紀の大指揮者 第2回 ブルーノ・ワルター”
担当:吉野忠彦
使用蓄音機:Victrola Credenza

BRUNO WALTER ブルーノ・ワルター(1876/9/15-1962/2/18)

ドイツ出身のユダヤ系指揮者。20世紀を代表する偉大な指揮者の1人で、モーツァルトや恩師のマーラーの作品を得意とした。ベルリンで生まれ、同地のシュテルン音楽院でピアニストとして勉強したが、ハンス・フォンビューローを聴いて指揮者に転向、始めはケルン、ハンブルク、リガやベルリンで指揮の経験をしたが、1901年ハンブルクでグスタフ・マーラーに会って心酔、マーラーもその才能を認めてウィーン宮廷劇場の副指揮者に任命した(-1912)。

その後ミュンヘンやベルリンの歌劇場、ライプチッヒ・ゲヴァントハウスの指揮者を務めた。しかし、1933年ナチスが政権を取るとドイツを離れてウィーンに移住し、国立歌劇場やウィーン・フィル、ザルツブルク音楽祭で活躍した。さらに、38年ナチスがオーストリアを併合するとスイス、フランスを経て39年米国に亡命、NBC交響楽団やメトロポリタン歌劇場で客演を行い、47〜49年ニューヨーク・フィルの指揮者を務めた。

1956年80歳で引退の意向を発表し、60年に完全引退したが、CBSはその数年前から彼の芸術を当時のステレオ録音で後世に残すために特別にコロンビア交響楽団を組織して数多くの録音を彼の住んでいるビヴァリーヒルズで行った。しかし62年に心臓マヒのため亡くなった。

また戦後はヨーロッパに復帰して、ウィーンやエディンバラなどでも指揮をしている。戦前や戦後間もなくの日本では、そのウィーン風の優雅さと温かさそしてその人間性が非常に敬愛されて、5大指揮者にあげられることが多い。

♪曲目

  1. ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
    1756年1月27日 ザルツブルグ~1791年12月5日
    ウィーン3つのドイツ舞曲K.605 No.1ニ長調/No.2ト長調/No.3ハ長調「そり滑り」1937年5月4日録音
  2. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
    1770年12月17日(洗礼)ボン~1827年3月26日 ウィーン
    交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」1936年12月5日録音
  3. フランツ・ペーター・シューベルト
    1797年1月31日 ウィーン~1828年11月19日 同地
    交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」1936年5月19・21日録音
  4. ヨハン・シュトラウスII
    1825年10月25日 ウィーン~1899年6月3日 同地
    皇帝円舞曲Op.437 1937年10月18日録音
  5. グスタフ・マーラー
    1860年7月7日 カリシュト(ウィーンとプラハの中間)~1911年5月18日 ウィーン
    交響曲第5番嬰ハ短調〜第4楽章「アダージェット」1938年1月15日録音

ウィーン・フィルハーモニック・オーケストラ コロンビアレコード

風雲急を告げるヨーロッパ、そんな時代に、ワルターとウィーン・フィルハーモニックが残した録音の中から、ウィーンゆかりの名曲を、その歴史的名演で鑑賞しました。


【参考】第24回例会「20世紀の大指揮者 第1回 ウィレム・メンゲルベルク」